さわかみ

2019ロングボードツアー前半戦を振り返る

2019ロングボードツアー前半戦を振り返る

4月23日よりバリ島・クラマスでスタートしたJPSA2019ロングボードツアー。

今年は全5戦を予定しているので、6月1日〜2日に開催された第3戦太東ロングボードプロが終了した時点で前半戦終了のタイミングとなった。 後半戦は7月20日の北泉プロからスタートとなるが、ここで前半戦を振り返ってみよう。

強い日差しが降り注ぎ乾季に入った真夏のようなバリ島・クラマスから今年のロングボードツアーがスタートした。

第1戦ガルーダ・インドネシア/旅工房 ムラサキプロの波は今年初の寒波からのビッグスウェルが届き連日ダブルくらいのビッグサイズでの大会となった。

メンズのファイナルに残っている選手は、昨年とほぼ同じメンバーでビッグサイズに強い選手といっても良いだろう。(昨年も頭オーバーくらいのサイズでの大会となっていた)そして第1戦を制したのは若手の代表格井上鷹。

第1戦優勝者の井上鷹
2位:浜瀬海

2位は昨年のグランドチャンピオン浜瀬海となり若手パワー全開の初戦となった。 ウィメンズは、ビッグサイズを笑いながらドロップしてくる田岡なつみが圧倒的な強さで優勝し、昨年ラウンド2で敗退した雪辱を晴らし、2位にはバックサイドで果敢に挑んだ小高恵子が昨年に続き2年連続の2位となった。

優勝の田岡なつみ
2位:小高恵子

第2戦9GATES PRO CHIKURAは国内初戦となり戦いの場が千葉県千倉海岸。

5月とは思えない強い日差しの中で開催され、波は腰くらいをなんとかキープし、ビーチブレイク特有の速いブレイクでの戦いとなった。

メンズはレイトエントリーでラウンド1から登場となった堀井哲が疲労をもろともせず、ヒートごと調子を上げそのまま優勝する快挙。2位は井上鷹となり井上の昨年最終戦から続く連勝はここでストップ。

ラウンド1から優勝した堀井哲
2位の井上鷹

ウィメンズは第1戦優勝の田岡が海外遠征で不在となり、逆に第1戦海外遠征で不参加だった吉川広夏がエントリー。その吉川を抑えて優勝したのが若手筆頭の小山みなみで、昨年の第4戦以来の優勝となった。

優勝した小山みなみ
2位の吉川広夏

第3戦太東ロングボードプロは同じ千葉だが北エリアの太東が舞台の太東ロングボードプロ。

波はうねりが弱くかなりスモールサイズの大会となったが、そこはトッププロ。スモールサイズでもマニューバーをしっかり入れたライディングを披露。

メンズはサイズが小さいのでハングテンやハングファイブのノーズライディングを中心にした組み立てとなり、井上鷹がとにかく全ての波でノーズへ行くという強い気持ちがわかるライディングで優勝。2位はハイラインでスピードあるノーズライディングを見せた秋本祥平となった。

今期2勝目の井上鷹
2位秋本祥平

ウィメンズはやはりノーズライディングといえば吉川広夏という声が聞こえる程、上手さに定評がある吉川がハングテンを巧みに入れて優勝し、2位は2連勝を狙った小山みなみで第2戦の順位を入れ替えた形となった。

優勝した吉川広夏
2位の小山みなみ

第3戦が終了した時点でのランキングは、メンズ1位井上鷹、2位森大騎、3位秋本祥平、4位堀井哲、5位鈴木剛。

左から井上鷹、森大騎、秋本祥平、堀井哲、鈴木剛

ウィメンズは1位小山みなみ、2位小高恵子、3位吉川広夏、4位菅谷裕美、5位小栗瑞恵となっている。

左から小山みなみ、小高恵子、吉川広夏、菅谷裕美、小栗瑞恵

新たな力としては3戦ともプロトライアルを同時開催し、第1戦では梶原裕太、鳩貝俊嗣、平田夏帆、第2戦では真田和斗、第3戦では内村喜章、川上聖斗、佐藤樹生、小林恵理子、松下歩がプロ公認資格を獲得した。

ロングボードツアーは、ショートボードツアーより選手の変動が少ない印象を受けるが、今年はヤングパワーの台頭も注目だ。メンでは井上鷹、中井晴、稗田瞬、西口京佑、川上聖斗といった1990年代後半や2000年、2001年生まれの勢いがあるライディングが印象に残る。また、ウィメンも小山みなみや平田夏帆の10代2人の活躍が目立つところも、今後のロングボード界の楽しみな点だ。

5月には特別戦「オッシュマンズ スタイルマスターズ」も開催されている。

太東海岸で行われたスタイルマスターズ。レギュラーツアーの大会と違い、サーフボードは9‘4“以上でシングルフィンのみ。サイドフィンのプラグがついていてもダメという特別ルールで、ライディングもクラシカルなロングボードらしいライディングに高得点がつく。選手もレギュラーツアーに参戦していない選手も出場し、ウィメンの選手も同じヒートに登場してくる楽しさも相まった大会だ。

波は腰くらいだったが、ロングボードに適したショルダーの張ったセクションがあるブレイクとなり、まさにスタイルを持った選手がそれぞれの特徴を出したライディングのオンパレードとなった。レギュラーツアーでグランドチャンピオン6連覇という偉業を達成している宮内謙至の顔も。宮内はこの大会は未だ優勝したことがなく、今年こそはと本人も思いを語っていた。

ウィメンでインビテーションを受けていた吉川広夏、田岡なつみそして小高恵子は惜しくもセミファイナルで全員敗退となってしまったが、メンズに混ざってのヒートでかなり刺激を受けたことだろう。

結果は、第1回大会の覇者吉田泰が2度目の優勝を果たし、2位にはレギュラーツアーで活躍している秋本祥平、3位はマジックフット中村清太郎、注目の宮内は4位と悔しい結果となった。

スタイルマスターの頂点にたった吉田(チャボ)泰
2位はスムースなウォーキングの秋本祥平
3位は正にマジックフット中村清太郎
4位はレジェンドの宮内謙至

後半戦に入ると気になるのはグランドチャンピオン争い。メンズは現在1位の井上は3戦中2戦で優勝しているので最有力なのは間違いない。堀井も第2戦で優勝し初のグランドチャンピオンを狙っているが第3戦をラウンド4で敗退しているのが痛い。

ウィメンズは毎試合優勝者が変わる混戦で、毎試合上位に顔を出している小山が1歩リードしている。残り2戦でランキング争いもどう変化していくのか?今年優勝している田岡や吉川は海外の試合と重なりフルにエントリーできていないためポイントが伸びない現状もある、そのぶん国内をベースにしている選手はチャンスが多くなるのも現実だろう。

では、次の大会「北泉プロ」の大会会場、北泉海岸とはどんなポイントなのだろうか?

福島県の北部に位置し、東日本大震災では津波でポイントが壊滅的な被害を受けてしまった。かつては世界大会や全日本選手権も開催され福島では昔から親しまれているポイントだ。

北泉ポイントは東に面してボトムはビーチとなる。北側に火力発電所があり海上に長く突き出た堤防があるため、北東うねりは入りづらいが、このエリアで吹きやすい強い北東風をかわすことにもなる。

震災以後初のJPSA開催の大会となり、大会後サーファーが足を運び復興に弾みがつくことを願いたい。

プロトライアルも同時開催される。

久しぶりにトッププロのライディングが福島の海で観れる日がくる。

全5戦中上位4戦のポイント合計で最終的なランキングが決定する。第1戦のバリをスキップしている選手は残り2戦に出場してファイナルランキングを少しでも上に持っていきたいだろう。

そして前半戦を終了し、後半は毎試合シード順位が変わるので、結果にも大きく影響をしてきそうだ。 ロングボードツアーは残り2試合。どちらも目が離せない大会となることは間違いない。

各大会のハイライト映像

◯第1戦ガルーダ・インドネシア/旅工房 ムラサキプロ

◯第1戦ガルーダ・インドネシア/旅工房 ムラサキプロDAY2

◯第1戦ガルーダ・インドネシア/旅工房 ムラサキプロFINALDAY

◯9GATES PRO CHIKURA DAY1

◯9GATES PRO CHIKURA FINALDAY

◯太東ロングボードプロDAY1

◯太東ロングボードプロFINALDAY

◯オッシュマンズ スタイルマスターズ